飯舘だより 5 (2015年11月11日)
なごみ収穫感謝祭

いつもは福島から参加させていただくのだが、今回は東京から向い、到着がかなり遅くなってしまった。
飯舘村直売所松川店「なごみ」主催の収穫感謝祭は11月3日、福島県松川第一仮設住宅前で行われた。佐須の田舎味噌を種として、埼玉で製造された里親・玄米味噌の販売や佐須のお母さんたちや味噌の里親スタッフ、東京などから来たボランティアさんが、芋汁を作ってふるまってくれる。まわりには松川仮設住宅に避難している人たちなどがすでに座って芋汁を食べていた。たくさんの野菜が入ったおいしい芋汁だ。焼きおにぎりもある。
4回目となる収穫感謝祭、参加する人たちも年々増え、またスタッフやボランティアの料理の腕前もあがっている。始めのころは焼きおにぎりを作るのに黒こげになったり、時間がかかったりしていたが、今は手際よく作るのが早い。イベントの進むペースは速く、おかげで遅刻してきた私は写真撮りますよと言っておきながら、ほとんど撮れなかった。





飯舘だより 4 (2015年11月10日)
紅葉とフレコンバックと

飯舘だより3で書いた東北豪雨の影響で流れ出した飯舘村のフレコンバックの問題は、前回の数字を大きく上回っていた。9月25日の福島民報によると、環境省は439袋を発見し、そのうち398袋を回収した。しかしながら回収したものの、破損したり、中身がない袋は255袋。そして回収を断念した袋は36袋もあったという。除染の手抜きの不満などが住民から聞かれるが、除染後の管理不備も問われることになった。
11月始め、1カ月ぶりで飯舘村に行った。飯舘村の紅葉も終わりに近づいていた。福島の平地より一足早く始まり、終わりを告げる。それにしても黒色のフレコンバックが所狭しと並んでいて、きれいな紅葉の風景がかき消されてしまう。人気のない道路には大型トラックが土を運んでものすごいスピードで通り抜ける。通った後は土埃が舞う。今は田畑の除染がメインで、田畑をつぶして仮置き場になっているところもある。村中にこのフレコンバックが溢れかえっている。こういう光景を見ると、帰村というイメージはとても湧いてこない。


飯舘だより 番外篇(2015年10月24日)

「映画『飯舘村の母ちゃん』制作支援の会」の新しいリーフレットができました。
どうぞご覧ください。 (右の画像をクリックすると別ウィンドウでpdfファイルが開きます。閲覧には、Adobe Reader等のアプリケイションが必要です。)


飯舘だより 3 (2015年9月12日)
飯舘村にも被害が


今回の台風の影響による豪雨で、栃木、茨城、宮城でお亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げるとともに、現在もなお避難を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。

昨日、さらに驚くニュースが飛び込んできた。今回の豪雨で、福島県飯舘村の河川が氾濫し、フレコンバック(除染廃棄物の保管袋)が流出した。82袋が発見され、そのうち37袋を回収。中身の漏えいは確認されていないというが、残りはまだ回収されていないという。
また村内では土砂崩れを起こしているところもあるという。私は除染が始まって間もないころ、村民の方から「家の周りの木を切れば、いつか災害が起こる可能性がある。森林や居久根の木はそれを防ぐ役割を果たしてきたから」という話を聞いたことがある。
飯舘村は昨年から本格的に家屋周辺や田畑の除染が進んだ。しかしながら除染で表土をおおっていた腐葉土や草や、家の周りの木を取り去ったことにより、被害が大きくなっていることは否めない。村民の不安が現実のものとなりつつある。


 


飯舘だより 2 (2015年8月28日)
セブンイレブンが飯舘村に


2015年7月終わり、福島県飯舘村にセブンイレブンが開店した。2011年の原発事故以来、飯舘村は計画的避難区域に指定されたために、それまであったセブンイレブンは閉店となっていた。あれから4年、飯舘村は2016年3月から2017年3月までの間に帰村宣言が出されるという。現在、そのために除染がすすみ、住宅まわりは9割以上が終わったといわれる。しかしながら村民の方々の話を聞くと、肝心の線量は除染をする前と後では半分ぐらいになったものの、もともとの数値が高いために、今も高い数値のままだという。そういうところに果たして帰れるのか、果たして村で生活できるのか、村民たちは不安を抱えながら行方を見守っている。




飯舘だより 1 (2015年8月21日)
変わりゆく風景と虫の音と

お盆の中日の朝、飯舘村の知人の家で目覚めると、暑苦しい蝉の鳴き声も、雀の鳴き声もしなかった。私は一体、どこにいるのかと思った。ここは東京でなく、福島の飯舘村だ。
2011年の夏は鶯の鳴き声や、うるさいほどに虫の音がしたものだ。それが今では家の中では聞こえなくなっている。外に出てやっと鶯や蝉の鳴き声が小さく聞こえた。
お墓詣りについていった。お参りする人の姿は見当たらず、お供えの花だけが咲き並んでいた。
お墓の周りには黒いフレコンバックが所狭しと並べられている。いつまでこの光景が続くのだろう。
お墓のそばで、桔梗の花が一輪、風に揺られて咲いていた。まるで飯舘村の変化を見守っているかのようだった。

古居みずえ

 
 


○ 制作支援のため、皆さまのご協力をお願いいたします。

支援金のお振り込みは、
● 郵便振替口座
 00160−0−664342
口座名:「飯館村の母ちゃん」制作支援の会
   1口:3,000円(個人)
      10,000円(団体) 
  ※ 多数口大歓迎!


 ← 戻る